• 感染症
Date:2024/02/20

新型コロナウイルス等感染症患者の搬送時の対策について解説

新型コロナウイルス等感染患者を搬送する際、医療従事者は感染拡大防止のための対策が必要です。

本記事では、患者搬送時に医療従事者が取るべき感染防止対策として、手袋やマスク、防護服などの装着方法やポイントを解説します。

加えて、専用防護フードや患者搬送専用袋の製品について紹介します。
適切な感染防止対策を知り、搬送スタッフ間で連携した対応を行いましょう。

新型コロナウイルス等感染症患者の搬送時の対策

新型コロナウイルス等感染症患者の搬送時の対策
新型コロナウイルス等感染症患者の搬送時は、患者との接触や呼吸器系分泌物などを介する飛沫感染や接触感染のリスクが高く注意が必要です。
具体的な対策は、搬送前後の手洗い・手指消毒の徹底が基本です。
それぞれの注意点やポイントを解説します。

手洗い・消毒

新型コロナウイルスはエンベロープをもつRNAウイルスで、アルコールや次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が有効です。
特に、患者の搬送前後の手指衛生・手指消毒は不可欠です。
手指衛生は、流水による石けんを用いて15秒以上かけて手のひら、手の甲、指の間、指先、爪の順に意識して洗います。
手指衛生を実施するタイミングは、以下の6点です。

  • 患者への接触前後
  • 手袋の装着前後
  • 血液・体液等に曝露した可能性のある作業の後
  • 傷病者周辺の物品に触れた後
  • 傷病者を医師に引き継いだ後
  • 車両、資器材を整備した後

厚生労働省は、手指衛生は標準予防策の中で最も基本的かつ重要であり、一患者ごとに手袋の交換と手指衛生の実施を原則とし、一処置ごとの手袋交換と手指衛生をできる限り実施が推奨されると記載してます。
手指に視認できる汚染がない場合においても、エタノール(濃度 60%以上)での手指衛生が必要です。

手袋

手袋を正しく使用することは感染予防対策において重要です。 
手袋の着脱、交換時の注意点は、以下の5点です。

  • 自分の手にフィットするものを使用
  • 手袋を外すときは、汚染の可能性がある外側に触れないように手袋の内側を外に出す
  • 汚染された手袋をしたままドアノブ等には触れない
  • 使用後の手袋は、感染性廃棄物専用箱に廃棄
  • 汚染された手袋で複数の患者の処置はしない。その度手袋を交換し、エタノール含有の擦式手指消毒剤による手指消毒を行う

新しい手袋を重ね着することも効果的な手段です。
こまめな手指衛生・手指消毒を行い、搬送後の環境清掃や体液処理の際も、手袋を忘れずに着用しましょう。

防護服

新型コロナウイルス等感染症患者の搬送時に着用する防護服は、飛沫や接触による汚染から身を守る上で重要です。
エアロゾルが発生する処置の場合は、防水性のある長袖ガウンを着用します。
防護服を使用する際の注意点は、以下の7点です。

  • 防護服は、血液・感染性のある体液に汚染された物品や環境に触れる前、またはその状況が予測される時
  • 曝露のリスクを見極め、適切な資材を選択
  •  手指衛生後に防護服を着用
  • 使用枚数分ずつ袋から取り出す
  • 原則として患者ごとに交換
  • 使用後は感染性廃棄物専用箱に廃棄
  • 防護服を外した後は手指衛生を行う

防護服の脱着時は、汚染しているため脱ぐ順番を間違えると感染リスクが高まります。
適切な防護服を選び、正しく脱着できるように訓練が必要です。

マスク

新型コロナウイルスの場合、ウイルスを含む微粒子の飛沫のリスクが高いため、搬送時のマスク着用は最も重要です。
マスクの着用時の注意点は、以下の5点です。

  • 救急活動時はサージカルマスクを着用
  • 空気感染のリスクがある患者の場合は、フィルター性のあるN95 マスクを着用
  • N95マスク使用時は、適切なサイズを選択し、装着時に毎回シールチェックを行う
  • 同じマスクの長時間使用は湿気によってフィルター性を損なうので、原則1回使い捨てにする(N95 マスクは、1回5時間が耐用時間の目安だが、水に濡れたり血液・体液等による汚染がなく、シールチェックに合格する限り再利用可能)
  • 呼吸器感染症が疑われる患者の場合は、患者本人及び救急車に同乗する者に対して、症状の有無に関わらず、可能な限りサージカルマスクを着用させる

新型コロナウイルスなどエアロゾルが発生する場合は、N95マスクが第一選択です。
自身に合った密着性の高いサイズをフィットテストで確認して口元まで覆い、顔の形に合わせてノーズワイヤーを調整します。
マスクを外す際は、裏表を確認した上で顔やマスクを触らずに耳掛けやひもを持って外します。

その他

その他の感染対策としては、ゴーグルやシューズカバーなど場面に合わせた防護具の選択が必要です。
その他の防護具に関する注意点は、以下の6点です。

  • 血液・体液等が飛散している可能性がある現場では、アームカバー、シューズカバー及びゴーグルまたはフェイスシールドを着用
  • 特に髪を触りやすい者はキャップを着用
  • 感染症の罹患が確定している患者の場合は、ゴーグル又はフェイスシールドは1回使い捨ての使用が望ましいが、消毒して再利用可能
  • ゴーグルは、目と鼻口を覆うように装着し、ストラップで確実に固定
  • シューズカバーは、長靴型で靴底全体を覆えるサイズを選ぶ
  • アームカバーは長袖ガウンの上から装着し、手首まで覆う長さにする

いずれも装着中の曇りや汚染に注意して、表面に血液などが付着した場合は交換が必要です。

参照元:救急隊の感染防止マニュアル(ver2.1) 総務省消防庁

参照元:厚生労働省 新型コロナウィルス感染症について

感染症患者搬送用品の使用も効果的

感染症患者搬送用品の使用も効果的
感染患者搬送用に開発された「DIFトランスバッグ」や「DIFフード」といった製品を紹介します。
これらの製品を活用することで、搬送者のエアロゾル曝露を防ぎながら、安全かつスムーズに患者の移送を行えます。

DIFトランスバッグ

DIFトランスバッグ

セット内容
  • DIFトランスバッグ1枚(標準タイプ=青 又は 特注タイプ=黄)
  • 送排気ユニット(ULPAフィルター付)1台
  • リヒカ(顔面用)1枚、専用収納運搬用バッグ1個
  • 単2アルカリ乾電池8本
サイズ L2,260×W690×H190mm(リヒカ最頂部 H350mm)
重量 約2.5kg
特徴
  1. ディスポーザブル: ファーストレスポンダー(消防、検疫所、保健所)、病院向け。スタッフを二次感染から守る。
  2. 使い勝手: ストレッチャーから車椅子、ヘリコプターまで広く使用可能。
  3. ダブルセーフティ: ULPAフィルター付き送排気ユニットにより内部が陰圧となり、病原菌の拡散を防ぐ。
  4. リヒカ: 顔の圧迫感をリヒカで解消し、患者の快適性を向上させる。
  5. 電池駆動: 市販のアルカリ乾電池で送排気ユニットを駆動。
  6. 軽量・小型: 収納と携帯が簡単。
  7. メンテナンス簡易: 外側は水洗い可能。
  8. 特注バッグ: 処置用手袋2組、酸素供給及び吸引用ポート付き。

DIFトランスバッグは、新型コロナウイルス等感染症患者のエアロゾル曝露から守り、安全に隔離・運搬できる搬送袋です。
密封性と強度に優れており、袋の開口部を熱シールできる利点があります。
狭い空間でも運搬中の感染リスクを低減できるため、院内アイソレーターとして有効です。

DIFフード

DIFフード

セット内容
  • DIFフード(ホース付)1枚送排気ユニット(ULPAフィルター付)1台
  • 腰ベルト1本、単2アルカリ乾電池8本
重量 約1.6kg
特徴
  1. ディスポーザブル: ファーストレスポンダー、病院向け。スタッフを二次感染から守る。
  2. 広い視野: 最小限の不快感で広い視界を提供する。
  3. ULPAフィルタユニット: 陽圧と陰圧の両方に対応。スタッフと疑われる患者の両方に装着可能。
  4. 用途の幅広さ: 救急車両、飛行機、船内などの狭い空間でも有効。院内移動用のアイソレーターとしても利用可能。
  5. 防水かつ通気: 飛沫感染を防ぎつつ、通気口が付いており、長時間の使用に適している。

DIFフードは、新型コロナウイルス等感染症患者を搬送する際のエアロゾル感染を防ぐための防護フードです。
患者側とスタッフ側で両方に使用でき、陰圧と陽圧の調整が可能です。
首元まで完全に覆われる高性能フィルターを使用しているため、効果的にウイルスの飛沫を防げます。

>>感染症患者搬送用品の詳細はこちら

新型コロナウイルス等感染症患者の搬送時は万全の対策を

新型コロナウイルス等感染症患者の搬送時は万全の対策を

今回は、新型コロナウイルス等感染症患者の搬送時の対策と効果的な感染対策用品をご紹介しました。
手指衛生・手指消毒の徹底、防護具の正しい着用が基本的な対策であり、患者との接触や体液曝露の回避が最も重要です。
さらに、専用の搬送製品を使用することでより高い感染予防効果が期待できます。

株式会社ノルメカエイシア」は、日本初の災害・救急医療の医療専門商社として薬品・医療機器販売、災害・救急用品、災害医療救助訓練の企画立案・実施など幅広く社会に貢献しています。

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